手前は“珈琲専門店”の看板をあげて
営業させて頂いております。
ゆえに時々
“ブレンド珈琲しかないんですか!?ストレート豆は!?!?”
と、よく訪ねられます。
ここで言うストレート豆とは産地別の豆をブレンドすることなく飲むタイプの珈琲です。例えば“ジャマイカブルーマウンテン”“タンザニアキリマンジャロ”“コロンビアエメラルドマウンテン”“イエメンモカマタリ”などがそうです。
で、
ブレンド珈琲って、下手すると“安物”のような印象がありませんか?
確かに混ぜ物であることをいいことに低級品を入れてコストダウンを謀るところもあります。特に昔は多かったと聞きます。
しかし、その反面、ブレンドすることは、創作活動でもあるのです。
産地別に飲むのであれば、その最大の目的は、その豆の個性を最大限に引き出してやる、と言うことになります。
これに対してブレンドは自分の思い描いた理想の味を自分で作り出す創作行為です。
そして残念ながらその他多くの創作活動、芸術と同じで“完成”はありません。今後、自分が100%満足出来ることもあるはずがありませんし、たとえ出来たとしても、その味はもう二度と再現することは不可能なのです。
同じ豆同じ配合同じ水同じ温度同じ抽出…………………
どんなに頑張ってみたところで、その味や香りは帰ってきません。例えるならjazzの演奏がまさに、それではないでしょうか。
巨匠エリックドルフィーの有名な言葉
“音楽は聴き終わると空中に消え去り、二度と捕まえることはできない”
人間の創作活動なんてみんなこんな感じではないでしょうか?
永遠に完成することはない、と分かっていても、自分の作品を昇華させたい。
“昨日飲んだ味と違うぅ〜…”
はい、その通りです。昨日の珈琲は昨日に置いてきました。同じように昨日の私は昨日の私、昨日の貴方は昨日の貴方。
ま、そんな変わってる訳ではないですよ(笑)でも同じ味を再現するなんて、不可能なのです。だから珈琲好きはjazzに惹かれるのかもしれません。
話が少し逸れましたが、色々な産地を飲み比べる事の方が、一見珈琲を追求しているように感じるかもしれません。
しかしそこは通過点でしかありません。
世界に唯一、自分の中にしかない、理想の珈琲。
これを模索し考え試し作り出す、とてつもなく大袈裟になりますが(笑)ブレンド珈琲って、そんな行為でもあるのです。
もっと深い世界が広がっています。その世界に特化したいので、手前はこのスタイルなんです。
あぁ〜〜…、ほら、やっぱりタイソウになりすぎた……
ま、とりあえずは気楽に飲んで下さいませ♪(汗)